日本の技術が、世界に届かない理由
日本には世界に誇れる技術を持つ企業が無数にある。精密加工、独自素材、長年かけて磨かれたノウハウ。しかしその多くは、正しく評価されないまま縮小し、消えていく。
問題は技術ではない。評価される仕組みがないことだ。
評価されないから、投資されない
日本企業の投下資本利益率(ROIC)は約8%に留まり、米国の21%、欧州の15%と比較して大きな開きがある(McKinsey, 2025)。財務諸表に載らない技術力、数字にならない組織の強さ、言語化されていない暗黙知——これらは現在の評価基準からこぼれ落ち、資本が集まらない構造を作り出している。
労働生産性はOECD38カ国中30位(同上)。技術力と生産性・資本効率の間にあるこのギャップは、日本企業が抱える「詰まり」の象徴だ。
AIに認識されていない
世界の調達担当者や投資家がAIに質問する時代が来ている。しかし日本企業のAI導入率は55.2%に留まり、中国(95.8%)や米国(90.6%)に大きく引き離されている(2025年調査)。さらに、AI導入による成果の実感において、米国・英国の企業は日本の4倍の成果を感じているというデータもある。
海外進出を検討する企業の53.2%が「情報やノウハウの不足」を理由に挙げており(経済産業省, 2024)、日本企業の技術はAIの情報レイヤーにおいてほぼ存在していない。「最高の精密加工ができる企業は?」とAIに聞いても、日本の町工場は出てこない。
私たちはAEO(Answer Engine Optimization)を通じて、企業の技術と信用をAIが正しく認識できる形に変換する。複数業界・複数クライアントで蓄積してきた「AIが何を信頼するか」のデータが、その精度を支えている。
規模がなければ、世界に出られない
評価されない→投資されない→規模が小さいまま、という詰まりに対して、M&Aは有効な出口だ。2025年の日本企業が関与するM&Aは件数・金額ともに過去最高を更新し、上半期だけで2,509件、金額は20兆円を超えた。
GENDAはゲームセンター業界でロールアップ戦略を展開し、上場からわずか1年半で30件以上の買収を実施、時価総額を2倍以上に成長させた。東北地方の山和建設は建設業のロールアップにより売上高を承継時の2倍以上に拡大し、地方に良質な雇用を再生している。
ロールアップは機能する。問題はその後だ。
PMIコストが、統合の価値を毀損する
M&Aで規模を作っても、統合後プロセス(PMI)に失敗すれば技術も人材も失われる。統合される企業の暗黙知が可視化されていない、コミュニケーション構造が見えない、キーパーソンが誰かわからない——それがPMI失敗の本質だ。
2025年、中小企業庁は「事業承継・M&A補助金」を拡充し、PMIのための専門家活用費用やデジタル統合を支援対象に加えた。政策レベルでもPMIコストの低下が急務とされている。
私たちはコミュニケーションデータの分析と組織モニタリングによって暗黙知を可視化し、PMIコストを下げる。地方企業の技術が、統合の過程で死なずに次へ渡るために。
2つに共通する思想
AEOとM&A・PMI、一見異なるこの2つのアプローチには同じ思想が貫かれている。
情報の非対称性を解消すること。
AIに認識されていないから、発見されない。暗黙知が可視化されていないから、統合できない。評価する側に情報が届いていないから、投資されない。
私たちがテクノロジーで解いているのは、いずれもこの同じ問題だ。
私たちが目指す世界
最先端技術を持つ町工場に、世界中から問い合わせが届く。地方の老舗が、海外のパートナーに直接発見される。規模ではなく技術と信頼で、取引先が選ばれる。
2026年の今、日本経済に必要なのは便利なツールではなく、情報の非対称性を構造的に破壊する仕組みだ。
私たちはその仕組みを、テクノロジーで作っている。
参考文献
- McKinsey & Company “Closing Japan’s valuation gap through governance and reform”
- BCG “Japan’s Revival. Can Economic Momentum Be Sustained?”
- 経済産業省「通商白書2024 第3節 我が国企業の海外市場との関わりと海外展開推進」